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徳島簡易裁判所 昭和58年(ハ)341号 判決 1983年9月21日

当事者

別紙記載のとおり。

主文

一、被告らは連帯して原告に対し、金三五万八、八〇〇円及びこれに対する昭和五八年六月三〇日から支払済みに至るまで年六分の割合による金員を支払え。

二、原告の、その余の請求は棄却する。

三、訴訟費用は、被告らの連帯負担とする。

四、この判決は、仮りに執行することができる。

事実

一、請求の趣旨  別紙記載のとおり。

二、請求の原因の要旨 別紙記載のとおり。

理由

被告らは、本件口頭弁論期日に出頭しないから請求の原因の要旨記載の事実を自白したものとみなす。

右事実に基く本訴請求は理由がある。

但し、付帯請求中、年六分を超える部分は、別紙記載のとおり原告に請求権がないから理由がない。

よつて、右請求は、理由がある限度においてこれを認容し、その余は棄却すべく、民訴法八九条、九三条、一九六条を適用して主文のとおり判決する。 (石川虎雄)

当事者

原告 国内信販株式会社

右代表者人 佐々木典綱

右訴訟代理人 中田祐児

被告 吉田耕造

被告 吉田米子

請求の趣旨

一、被告らは原告に対し連帯して、金三五万八、八〇〇円及びこれに対する昭和五八年六月三〇日から支払済に至るまで年29.2パーセントの割合による金員を支払え。

二、訴訟費用は被告らの負担とする。

との判決及び仮執行の宣言を求める。

請求の原因の要旨

一、被告耕造は昭和五八年二月四日、訴外出口自動車より「軽四輪自動車」を代金三〇万円で買受けるに際し、割賦販売の斡旋を業とする原告との間に左記約定の立替払契約を締結した。

1 原告は被告耕造に代わつて右代金三〇万円を訴外出口自動車に対して立替払する。(原告は同日立替払をした。)

2 被告耕造は原告に対し、右立替払金と取扱手数料金七万五、〇〇〇円との合計金三七万五、〇〇〇円を次のとおり二四回に分割して支払う。

昭和五八年二月から同六〇年一月まで毎月二七日限り金一万五、六〇〇円ずつ(但し第一回は金一万六、二〇〇円)

3 被告は右割賦金の支払を怠り原告が二〇日以上の期間を定めた書面で催告しても、支払をしないときは期限の利益を失い残債務金を一括して支払わなければならない。

4 遅延損害金は年率29.2パーセントとする。

二、被告米子は前同日原告に対して、被告耕造の前項の債務につき連帯保証をした。

三、原告は被告耕造に対し、昭和五八年四月四日到達の内容証明郵便をもつて、遅滞割賦金を同年同月二四日までに支払うよう催告した。

四、よつて、原告は被告らに対し、右割賦金支払未済額金三五万八、八〇〇円及びこれに対する期限の利益を失つた日の後である同五八年六月三〇日(訴状送達の翌日)から支払済に至るまで約定利率年29.2パーセントの割合による遅延損害金の連帯支払を求める。

別紙

付帯請求中年六分を超える部分の請求権不存在の理由

ところで、以上の取引に割賦販売法の類推適用があるかどうかを検討するに、右取引における購入者は、立替金を商品の購入代金であると認識するであろうし、実質上割賦販売を受けたのと何んら異るところがないこと、並びに、割賦販売法が購入者の保護を主目的とする強行法規性を有するものであることを併せ考え民法一条二項、九〇条の法意に照らすと信販会社は、これを販売店の共同体、ないし割賦販売人の地位の譲受人と同視すべく、立替金は、これを割賦販売法上の割賦販売代金と同視し、その支払いにつき、同法の制限規定を類推適用するを相当と解する。すなわち、前叙の立替払契約は、右類推適用によつて排除される部分は、信義則、公序良俗に反してその効力を有しないものといわなければならない。ちなみに、処分権主義は作用しないものと解する。

そこで進んで、同法上の割賦販売代金債務不履行の場合における遅延損害金の制限について検討する。

同法六条二号は、当該割賦販売契約が解除され当該商品が返還されない場合における割賦販売代金についての遅延損害金の率につき、損害賠償の予定、又は、違約金の定めがある場合においても商事法定利率の年六分に制限する旨を規定する。

この規定は、当該割賦販売契約が解除された場合の規定ではあるが、同法の前叙の目的などにかんがみ、契約が解除されず割賦販売代金の債務不履行があつた場合にも、当該商品が返還されずその実質において何んら異るところがないから、当然類推適用すべきものと解すべきである。

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